延喜式
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『延喜式』(全50巻)は、平安時代中期に編纂された法典である。延喜五年(905)に醍醐天皇の命により編纂が始まり、延長五年(927)に完成、康保四年(967)より施行された。
「律令格式」とまとめて呼ばれるが、実際には
- 律(りつ):刑法
- 令(りょう):行政法
- 格(かく):律令の修正・増補
- 式(しき):律令の施行細則
という区別がある。延喜年間に編纂が始まった「式」なので『延喜式』というわけである。
延喜式の巻二十二「民部上」に、諸国とその管轄下の郡の一覧が載っている。新座郡という記載の初見はこの延喜式「民部上」の項である。
延喜式 巻二十二 民部上
東海道
武蔵国 大
管 久良(クラキ) 都築(ツヽキ) 多麻(タマ) 橘樹(タチハナ) 荏原(エハラ) 豊嶋(トシマ) 足立(アタチ) 新座(ニヒクラ) 入間(イルマ) 高麗(コマ) 比企(ヒキ) 横見(ヨコミ) 埼玉(サイタマ) 大里(ヲホサト) 男衾(ヲフスマ) 幡羅(ハラ) 榛沢(ハンサハ) 那珂(ナカ) 児玉(コタマ) 賀美(カミ) 秩父(チチフ)
補記
武蔵国は「大国」に分類され、21郡を管轄する、という記載である。また、この後の記載で「遠国」に分類されることも記されている。
奈良時代に記された「新羅郡」がここには記載されていない。江戸時代の書物では新羅郡が幡羅郡になったのではないかというような考察も記されているが、現在では新座郡が新羅郡の後継であることが定説となっている。