武蔵国新座郡村誌/田島村
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< 武蔵国新座郡村誌
- 現代語訳=シラキのコホリのツカサ
田島村(たじま)
疆域
東は新河岸川を隔てて上内間木下内間木の2村に対し、南から西に連なる台・根岸の両村と岡村と黒目川を挟んでおり、西北は浜崎村と野径で界する。
幅員
- 東(新河岸川・下内間木村界から)西(字石川戸に至る)7町40間
- 南(笹橋から)北(字高田に至る)8町55間
管轄沿革
- 天正十八年庚寅(1590年)、徳川氏の所有となる。
- 元和元年乙卯5月[1](村吏の録申には三年丁巳とする。今、ここでは風土記による)、旗下士 富永善右衛門守定の二男・喜左衛門正吉に賜った。
- 正保(1645~1648年)のころは村高170石あり、子孫世襲した。
- また、本村の西北の方、浜崎・宮戸両村の間に飛地の神殿がある。これは享保十九年甲寅(1734年)三月検地して、代官の支配とした。(これ以前に開墾したとみられる)
- 徳川氏の末に至っても石高170石を富永鷲吉郎が知行し、24石2斗(新開による)を代官支配していた。
- 維新の際、ともに武蔵知県事に属する。
- 明治二年己巳(1869年)6月、品川県の管轄となる。
- 明治四年辛未(1871年)11月、入間県に移る。
- 明治六年(1873年)6月、熊谷県の所轄となる。
里程
- 熊谷県庁より南少し東13里
- 四隣:上内間木村(中央)へ8町。下内間木村へ15町。浜崎村(中央)へ8町。台・根岸両村(中央)へ12町。
- 近傍宿町:志木宿へ23町
地勢
- 平坦で、東・南・西の3面は新河岸・黒目の両川が囲んでおり、あたかも半島のようである。運輸は便利。炭は乏しいが薪は余りがある。
地味
- 白・赤・黒色の3種で、その質は悪く、稲・粱・菽(豆)・麦に適さない。水利の便を得るが、漲溢の患をまぬかれない。
税地
- 田:17町3畝13歩
- 畑:14町5反1畝28歩
- 総計:31町5反4畝11歩
飛地
本村をへだたること18町西北方、浜崎・宮戸2村の間 畑:17町7反3畝10歩
字地
- 笹橋(ささはし):村の南方にある。東西3町・南北3町40間。
- 前田(まへた):笹橋の東北に連なる。東西3町40間・南北3町30間。
- 花の木(はなのき):前田の西に連なる。東西3町10間・南北2町50間。
- 石川戸(いしかはど):花の木の西に連なる。東西3町・南北3町30間。
- 炭焼(すみやき):石川戸の北に連なる。東西1町25間・南北1町35間。
- 深町(ふかまち):炭焼の東南に連なる。東西2町15間・南北2町55間。
- 美女(うつくし):深町の東に連なる。東西1町35間・南北3町。
- 高田(たかた):美女の西北に連なる。東西2町5間・南北3町20間。
貢租
- 地租:米78石5斗5升7合、金14円1銭1厘
- 賦金:金15円
- 総計:米78石5斗5升7合、金29円1銭1厘
戸数
- 本籍:37戸(平民)
- 社:4戸(村社1坐、平社3坐)
- 寺:1戸(真言宗)
- 総計:42戸
人口
- 男:118口(平民)
- 女:125口(平民)
- 総計:243口
牛馬
- 牡馬:13頭
舟車
- 荷船:25艘(100石積2艘、80石積13艘、40石積10艘)
- 水害予備船:9艘
- 荷車:2両
- 総計:船34艘・車2両
山川
- 新河岸川:深さおおむね4尺、幅15間。北の方、浜崎村から来て本村の東境をめぐって流れ、東南の方、根岸村・下内間木村の間に入る。その間15町あまり。
- 黒目川:深さおおむね4尺、幅5間。西の方、浜崎村から来て南境を流れ、本村および下内間木・根岸の三叉になっているところに至って、新河岸川に合流する。その間、16町。
- 笹橋:村路に属し、村の南方、黒目川に架す。長さ5間・幅9尺。土造。
道路
- 村路:村の北の方、浜崎村から南の方、根岸村に至る。長さ6町・幅2間。
神社
- 神明社:村社。社地は東西4間・南北11間4尺2寸・面積47坪。村の南方にある。天照大神を祭る。祭日9月15日。
- 稲荷社:村社。社地は東西10間3尺・南北6間・面積63坪。村の西方にある。豊宇気比売命を祭る。祭日2月初午。
- 美女社:平社。社地は東西40間6寸・南北8間・面積81坪。村の東方にある。市杵島姫命を祭る。祭日3月5日。
- 神明社:平社。社地は東西7間・南北8間・面積56坪。村の西方にある。天照大神を祭る。祭日9月15日。
- 春名社:平社。社地は東西1間3尺・南北4間・面積6坪。村の南方にある。櫛名田比売命を祭る。祭日3月7日。
仏寺
- 冨善寺:東西16間・南北22間5分・面積345坪。村の南方にある。新義真言宗。志木宿宝幢寺の末派である。元和三年(1617年)、富長木右衛門が開基・創建した。
村事務所
- 当時、村吏の宅舎を仮用している。
物産
- 米:213石
- 大麦:198石
- 小麦:70石
- 大豆:35石
米・麦・園蔬の類は余りがあって近傍に販売している。
民業
- 男女農業を専とする。
注記
- ↑ 慶長二十年七月十三日に「元和」に改元したため、厳密には「元和元年五月」は存在しない。慶長二十年五月であれば1615年。村吏の「元和三年」の記載の方が正しい可能性がある。
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