武蔵国新座郡村誌/田島村

提供:シラキのコホリ
2025年1月16日 (木) 20:14時点におけるシラキのコホリのツカサ (トーク | 投稿記録)による版 (ページの作成:「武蔵国新座郡村誌田島村項の現代語訳。 :現代語訳=シラキのコホリのツカサ ==田島村(たじま)== 本村はいにしえ広沢庄野方領に属する。 ===疆域=== 東は新河岸川を隔てて上内間木下内間木の2村に対し、南から西に連なる武…」)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

武蔵国新座郡村誌田島村項の現代語訳。

現代語訳=シラキのコホリのツカサ

田島村(たじま)

本村はいにしえ広沢庄野方領に属する。

疆域

東は新河岸川を隔てて上内間木下内間木の2村に対し、南から西に連なる台・根岸の両村と岡村と黒目川を挟んでおり、西北は浜崎村と野径で界する。

幅員

  • 東(新河岸川・下内間木村界から)西(字石川戸に至る)7町40間
  • 南(笹橋から)北(字高田に至る)8町55間

管轄沿革

  • 天正十八年庚寅(1590年)、徳川氏の所有となる。
  • 元和元年乙卯5月[1](村吏の録申には三年丁巳とする。今、ここでは風土記による)、旗下士 富永善右衛門守定の二男・喜左衛門正吉に賜った。
  • 正保(1645~1648年)のころは村高170石あり、子孫世襲した。
  • また、本村の西北の方、浜崎・宮戸両村の間に飛地の神殿がある。これは享保十九年甲寅(1734年)三月検地して、代官の支配とした。(これ以前に開墾したとみられる)
  • 徳川氏の末に至っても石高170石を富永鷲吉郎が知行し、24石2斗(新開による)を代官支配していた。
  • 維新の際、ともに武蔵知県事に属する。
  • 明治二年己巳(1869年)6月、品川県の管轄となる。
  • 明治四年辛未(1871年)11月、入間県に移る。
  • 明治六年(1873年)6月、熊谷県の所轄となる。

里程

  • 熊谷県庁より南少し東13里
  • 四隣:上内間木村(中央)へ8町。下内間木村へ15町。浜崎村(中央)へ8町。台・根岸両村(中央)へ12町。
  • 近傍宿町:志木宿へ23町

地勢

  • 平坦で、東・南・西の3面は新河岸・黒目の両川が囲んでおり、あたかも半島のようである。運輸は便利。炭は乏しいが薪は余りがある。

地味

  • 白・赤・黒色の3種で、その質は悪く、稲・粱・菽(豆)・麦に適さない。水利の便を得るが、漲溢の患をまぬかれない。

税地

  • 田:17町3畝13歩
  • 畑:14町5反1畝28歩
  • 総計:31町5反4畝11歩

飛地

本村をへだたること18町西北方、浜崎・宮戸2村の間 畑:17町7反3畝10歩

字地

  • 笹橋(ささはし):村の南方にある。東西3町・南北3町40間。
  • 前田(まへた):笹橋の東北に連なる。東西3町40間・南北3町30間。
  • 花の木(はなのき):前田の西に連なる。東西3町10間・南北2町50間。
  • 石川戸(いしかはど):花の木の西に連なる。東西3町・南北3町30間。
  • 炭焼(すみやき):石川戸の北に連なる。東西1町25間・南北1町35間。
  • 深町(ふかまち):炭焼の東南に連なる。東西2町15間・南北2町55間。
  • 美女(うつくし):深町の東に連なる。東西1町35間・南北3町。
  • 高田(たかた):美女の西北に連なる。東西2町5間・南北3町20間。

貢租

  • 地租:米78石5斗5升7合、金14円1銭1厘
  • 賦金:金15円
  • 総計:米78石5斗5升7合、金29円1銭1厘

戸数

  • 本籍:37戸(平民)
  • 社:4戸(村社1坐、平社3坐)
  • 寺:1戸(真言宗)
  • 総計:42戸

人口

  • 男:118口(平民)
  • 女:125口(平民)
  • 総計:243口

牛馬

  • 牡馬:13頭

舟車

  • 荷船:25艘(100石積2艘、80石積13艘、40石積10艘)
  • 水害予備船:9艘
  • 荷車:2両
  • 総計:船34艘・車2両

山川

  • 新河岸川:深さおおむね4尺、幅15間。北の方、浜崎村から来て本村の東境をめぐって流れ、東南の方、根岸村・下内間木村の間に入る。その間15町あまり。
  • 黒目川:深さおおむね4尺、幅5間。西の方、浜崎村から来て南境を流れ、本村および下内間木・根岸の三叉になっているところに至って、新河岸川に合流する。その間、16町。
  • 笹橋:村路に属し、村の南方、黒目川に架す。長さ5間・幅9尺。土造。

道路

  • 村路:村の北の方、浜崎村から南の方、根岸村に至る。長さ6町・幅2間。


神社

  • 神明社:村社。社地は東西4間・南北11間4尺2寸・面積47坪。村の南方にある。天照大神を祭る。祭日9月15日。
  • 稲荷社:村社。社地は東西10間3尺・南北6間・面積63坪。村の西方にある。豊宇気比売命を祭る。祭日2月初午。
  • 美女社:平社。社地は東西40間6寸・南北8間・面積81坪。村の東方にある。市杵島姫命を祭る。祭日3月5日。
  • 神明社:平社。社地は東西7間・南北8間・面積56坪。村の西方にある。天照大神を祭る。祭日9月15日。
  • 春名社:平社。社地は東西1間3尺・南北4間・面積6坪。村の南方にある。櫛名田比売命を祭る。祭日3月7日。

仏寺

  • 冨善寺:東西16間・南北22間5分・面積345坪。村の南方にある。新義真言宗。志木宿宝幢寺の末派である。元和三年(1617年)、富長木右衛門が開基・創建した。

村事務所

  • 当時、村吏の宅舎を仮用している。

物産

  • 米:213石
  • 大麦:198石
  • 小麦:70石
  • 大豆:35石

米・麦・園蔬の類は余りがあって近傍に販売している。

民業

  • 男女農業を専とする。

注記

  1. 慶長二十年七月十三日に「元和」に改元したため、厳密には「元和元年五月」は存在しない。慶長二十年五月であれば1615年。村吏の「元和三年」の記載の方が正しい可能性がある。
武蔵国新座郡村誌
大和田町 - 野火止村 - 菅沢村 - 西堀村 - 北野村 新座市北部
志木宿 志木市南部
上内間木村 - 下内間木村 - 宮戸村 - 田島村 - 浜崎村 - 溝沼村 - 岡村 - 根岸村・台村 朝霞市の大半
上新倉村 - 下新倉村 - 白子村 和光市
橋戸村 練馬区大泉町付近
膝折村 朝霞市膝折
片山村 新座市南部
上保谷村 - 上保谷新田 - 下保谷村 西東京市東部
小榑村 練馬区大泉学園町西大泉南大泉付近